記者コラム「多事奏論」 編集委員・原真人
ふだん株価や株式市場の動きに敏感な人はいても、国債や国債市場に関心をもつ人は、まれだ。だが、いまや日本国民の将来にとって国債は株式以上に重要な意味をもつ。
国債はいわば政府の借金証文だ。どの国も発行しているが、日本ほど国債に依存している国は先進国で他に例がない。ざっくり言えば政府は毎年度の110兆円を超える予算のうち30兆円ほどを国債、つまり借金で調達しており、残高は積もり積もって1100兆円を超える。
万が一、日本政府の借金返済能力が疑われ国債を買ってもらえなくなれば政府は一般会計予算の約4分の1の規模の財源を失う。その時には年金支給や医療・介護、公共事業の多くが滞る。地方交付税が減らされれば学校やゴミ収集といった自治体機能もまともに働かなくなる。
そんな事態は経済大国・日本でありえないと大多数の国民は高をくくっているだろう。だが将来それに近い事態が起こってもおかしくないと考える専門家が政府や金融市場でこのところ増えている。
今月上旬、テレビ朝日の番組「羽鳥慎一モーニングショー」が参院選でバラマキ合戦となった各党公約と国債をテーマに取り上げた。解説役として出演した私はそんな究極のリスクを説明した。
国債問題が朝のワイドショー…