最高裁が不妊手術を強いた旧優生保護法は違憲と断じた判決後、原告らが会見を開いた=2024年7月3日午後5時53分、東京都千代田区、川野由起撮影

 旧優生保護法(1948~96年、旧法)下で障害のある人たちに不妊手術を強制したのは違憲とした最高裁判決を受け、超党派の議員連盟がとりまとめた被害者への補償法案が、今国会で成立する見通しとなった。国会では、謝罪と被害回復のための決議をあわせて行う予定。

 旧法をめぐっては、2018年から国に損害賠償を求める訴訟が全国で続き、19年に強制不妊手術の被害者本人に320万円を支給する「一時金支給法」が成立した。だが、違憲を前提としなかった。今年7月に最高裁が違憲と断じたことを踏まえ、議連は、新しい補償制度づくりを進めてきた。

 強制不妊手術の被害者には1500万円、配偶者には500万円を支払う。いずれも本人が亡くなった場合は遺族が請求できる。手術被害者は一時金の320万円とあわせて受給できる。また、中絶手術の被害者には200万円を支払う。最高裁判決のなかには中絶手術のみを受けた原告はいなかったが、議連は弁護団の要望を受け、被害者のヒアリングも行い、対象とした。配偶者や遺族は対象としない。

 被害者の多くは高齢化しており、法案の早期成立を望む声が大きかった。一方で今国会は早期解散で会期が短く、成立を危ぶむ声もあった。(川野由起)

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