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強制不妊訴訟の上告審弁論のため、最高裁に向かう原告団=2024年5月29日午前9時、東京都千代田区、恵原弘太郎撮影
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 旧優生保護法(1948~96年、旧法)の下で不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、障害者らが国に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁大法廷(裁判長=戸倉三郎長官)が3日午後3時、判決を言い渡す。戦後最悪とも言われる人権侵害に、司法はどんな判断を下すのか。旧法が違憲とされれば、国が被害にどう向き合うのかが厳しく問われる。

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 「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」

 そんな目的が定められた旧法は、議員提案され衆参両院で全会一致で48年に成立した。母体保護法に改正された96年までに、約2万5千件の手術が実施され、うち約1万6千件は本人の同意がなかった。

謝罪や補償、背を向けた国

 国には、旧法と向き合う機会が何度もあった。86年の旧厚生省の内部資料によると、すでに「人道的にも問題があるのでは」と法改正を検討していた。

 94年には、国連の国際人口開発会議で障害のある女性が旧法の問題を指摘。96年の法改正で、不妊手術に関する条項などが削除された。だが、国は謝罪や補償から逃げ続けてきた。

 議員立法の旧法を成立させた国会の責任も大きいが、対応は後手にまわった。

 国会議員が動いたのは、被害者が声をあげてからだ。2018年、宮城県の女性が初めて国に賠償を求めて提訴したことをふまえ、超党派の議員連盟と与党の作業部会が発足。訴えが各地に広がるなか、19年には一律320万円を支給する一時金支給法を全会一致で成立させた。

 しかし、今年5月末時点で支給認定を受けた人は1110人。「家族に伝えていない」「思い出したくない」など様々な状況があるとして、国は被害を受けた対象者への個別通知をしておらず、十分な救済にはほど遠い状況だ。

一時金も「不十分」指摘

 支給額も被害の大きさを考え…

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