微細な空洞がたくさんある結晶を使って、様々な化合物の立体構造を分析できる技術「結晶スポンジ法」について、東京大の藤田誠・卓越教授(有機化学)らのグループが、新手法を確立したと発表した。過去の弱点を克服し、次世代の創薬などで威力を発揮しそうだという。
結晶スポンジ法は、無数のナノメートルサイズ(ナノは10億分の1)の孔を持つ立方体や正八面体などの「かご型分子」に、分析したい化合物をしみこませ、立体構造を調べる手法。藤田さんらが、2013年に英科学誌ネイチャーに発表した。X線解析などの既存の分析方法より効率を飛躍的に上げ、微量の試料でも分析できる。
ただ、骨組みとなるかご型分子が壊れやすく、分析できる化合物の性質や大きさに制約もあった。作業は顕微鏡をのぞいて0.2ミリ程度のかごを拾う「職人芸」(藤田さん)で、これも実用化の壁になっていた。
今回グループは「第2世代」…