(第107回全国高校野球選手権大会決勝 第15日〈23日〉の見どころ)
強打の日大三と好投手を擁する沖縄尚学。持ち味は対照的だ。
日大三は1試合平均10安打を記録し、チーム打率は3割超。特に2年生の4番田中諒が打率4割4分4厘、2本塁打と絶好調だ。1番の松永海斗、準決勝で5番に座った竹中秀明も当たっている。
沖縄尚学はチーム打率2割3分1厘と、迫力では日大三に劣る。ただ、宜野座恵夢、比嘉大登らの中軸は勝負強く、準決勝では六、七回の集中打で逆転した。中盤以降まで接戦になれば、沖縄尚学のペースだ。
両監督の継投策が一つのポイントになりそう。沖縄尚学は2年生左腕末吉亮丞が全5試合で512球を投げ、準決勝は制球の乱れが目立った。
頼もしいのは同学年の右腕新垣有絃の台頭だ。直球、スライダーとも抜群の切れ味で、14回超を投げて1失点。準決勝では比嘉公也監督が「記憶にない」という末吉から新垣有への継投で流れを変えた。監督の選択肢が広がったのは間違いない。
日大三は緩急自在な投球が魅力の右腕近藤優樹が軸だが、準決勝ではこの夏の初登板だった根本智希が好投した。まだ手の内を全て明かしておらず、決勝も驚きの起用があるかもしれない。
総合力は日大三がわずかに上か。準決勝では互いに失策が失点につながった。仲間のミスをいかにカバーするか、いかにすぐに点を取り返すかもポイントになる。
「楽な展開はない」
本間律輝主将(日大三) 「大事なのは崩されず自分たちのスイングをすること。甘い球を1球で仕留めたい。楽な展開はない。ここ一番で点を取って、競り勝ちたい」
▽日大三の足跡
2回戦 3―2豊橋中央(愛知)
3回戦 9―4高川学園(山口)
準々決勝 5―3関東第一(東東京)
準決勝 4―2県岐阜商
「最高の形で試合できる」
真喜志拓斗主将(沖縄尚学) 「めざしていた舞台だったけど、なかなかイメージできなかった。高校生活の最後に、決勝という最高の形で試合ができる。3年生の意地で、2年生を勝たせたい」
▽沖縄尚学の足跡
1回戦 1―0金足農(秋田)
2回戦 3―0鳴門(徳島)
3回戦 5―3仙台育英(宮城)
準々決勝 2―1東洋大姫路(兵庫)
準決勝 5―4山梨学院