夏の奈良大会の舞台、さとやくスタジアムで6月17日午後6時前に始まった「記念試合」。主人公は、悔しい思いを抱える3年生たちだ。
奈良県内で強豪として知られる奈良大付と高田商。ともに多くの部員を擁し、レギュラー争いは熾烈をきわめる。
この両校が戦う記念試合では、3年生全員がベンチ入りし、夏の大会でメンバー入りが確実視される選手は応援に徹する。
出場する選手たちにとっては、この試合が最後の晴れの舞台になるかもしれない。もちろんここで活躍すればメンバー入りする可能性もゼロではない。選手たちは今までの全てをぶつける。
第107回全国高校野球選手権奈良大会(奈良県高野連、朝日新聞主催)が7月11日に幕を開けた。その前にあった特別な試合を取材した。
春の県大会と近畿大会でメンバー入りした奈良大付の西原悠生選手(3年)。しかし、記念試合の前にあった6月14、15両日の三重県への遠征ではBチームに。挽回を期したが、2日間で6打席に立ち3三振で無安打。エラーも三つと散々だった。
自らをアピールできる貴重な機会を逃し、悔し涙がこぼれた。
「Aチーム、絶対無理やな」
遠征最終日の夜、コーチに長文のメッセージを送った。これまでの感謝に加えて、記念試合への意気込みを誓った。
「記念試合は絶対に打つので…