世界遺産への登録を目指している彦根城=2023年7月、滋賀県彦根市、朝日放送テレビヘリから、筋野健太撮影

 世界遺産登録を目指している彦根城(滋賀県彦根市)について、文化審議会は26日、今年度の国内推薦を見送ることを決めた。他の城との比較などについて「課題が残る」とした。

 彦根城は、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の暫定リストに1992年に掲載。長年足踏みが続いていたが、その価値を江戸時代の大名統治システムを象徴する存在としたことで、ユネスコの諮問機関が昨年10月、事前評価で「登録の基準を満たす可能性がある」と評価した。一方で、単独の城で価値を十分表現できるかなどの課題も指摘されていた。

 滋賀県などは彦根城単独での登録を目指すが、文化審議会の部会は他の城との比較や概念の説明などについて「なお課題が残る点がある」と指摘。説明の充実を図るよう求めた。

 また、すでに世界遺産になった「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」(岩手県)について、柳之御所遺跡を追加するための事前評価を求める申請があったが、「世界遺産の評価基準を満たしていると主張する論拠が十分ではない」として、見送るよう意見を取りまとめた。

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