記者解説 編集委員・石合力
アフガニスタンから米軍が撤退し、イスラム勢力タリバンによる暫定統治が始まってから8月で3年になる。米軍の撤退は、米国がイスラム勢力や反米的な独裁政権を軍事的に転覆し、上からの「民主化」を目指した約20年に及ぶ「対テロ戦争」の敗北だった。
中東ではパレスチナのイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃をきっかけに、イスラエル軍がハマス壊滅を掲げてガザ地区に侵攻。パレスチナ側で約4万人を超す犠牲者が出ている。
中東やアジアで影響力を強めるイスラム組織とは何か。国際社会はどう関わっていくのか。地域の安定や事態の沈静化に向けて実態を冷静につかむ必要がある。
ポイント
イスラム組織は慈善活動なども担い、欧米と対立しつつも現地で支持が広がっている。米国の影響力低下で中東の力の均衡が変わるなか、トルコとカタールの存在感が増す。中東イスラム世界には日本への信頼や親近感があり、外交にどう活（い）かすのか問われる。
アフガンでは、2021年8…
