短歌時評 小島なお
歌壇俳壇面で月1回掲載している「短歌時評」。今回は、筆者の小島なおさんが近年出合った高校生の作品を取り上げ、言葉のアクセス性について考えます。2023年4月から2年間担当した小島さんによる最後の短歌時評です。
近年、全国の短歌大会から高校生以下の部門が減っていると感じる。予算などの問題もあるだろうが、盗作や類似作の増加が一因だと聞いたことがある。SNS上などであらゆる短歌作品に容易にアクセスできるために、課題に窮してネットで拾った作品を投稿してしまうことがあるのだろう。もったいないことだ。
戦渦の「渦」、戦禍の「禍」との違いより知るべきことはもっとあるはず
佐野晃太
生物基礎ふたりで読んで、このままで、いさせてくださいアラスカの森
角田千智
烏龍茶溢し生まれた大陸を指で切ってもすぐ繫がるの
上村爽太
いずれもここ数年の短歌大会…