8年前に見た光景を、競泳女子の池江璃花子(横浜ゴム)は今もはっきりと覚えている。
2016年リオデジャネイロ五輪。まだ16歳だった。女子100メートルバタフライの予選、準決勝、決勝で日本記録を3度更新する快進撃。「会場全体がキラキラして見えた。それは自分が楽しめていたから」
24歳の夏、そんな感情をパリ五輪でもう一度味わいたいと思ってきた。
「急性リンパ性白血病」と診断されたのは、2019年2月。リレーメンバーとしての21年東京五輪出場は「奇跡の復活」に違いなかった。当時、「病気になって、人の気持ちが分かるようになった」とも。
ただ池江は今、率直にこう語る。
「病気になって良かったこと…