パドレス戦で16日、投手に復帰したドジャース先発の大谷翔平=AP

 大リーグ・ドジャースの大谷翔平(30)が16日(日本時間17日)、パドレス戦に「1番・投手兼指名打者」で先発し、2023年9月に2度目の右ひじ手術をした後、初めて公式戦のマウンドに立った。今回の大谷の手術は、自分の体の腱(けん)を移植して患部の靱帯(じんたい)の修復をはかる「トミー・ジョン手術」に、人工靱帯を合わせて用いる術式とされている。

 大谷の投手としてのパフォーマンスは、手術前と比べてどうなりそうか。日本のプロ野球チームでドクターを務めるなど、ひじの手術に詳しい横浜南共済病院の山崎哲也医師(63)=東海大客員教授=に聞いた。

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 一般的には、1度目の術後より2度目の術後のほうが、選手の成績は下がる傾向にあります。

 2度も靱帯を切るほど負担がかかっているということは、靱帯以外の部分にも合併した損傷が多くなるからです。

 骨の変形や靱帯を支える筋肉のコンディションの低下、周囲を通る尺骨神経の障害などです。

 例えば、古くなった車のエンジンを変えたとしても、足まわりやタイヤなども痛んでいれば性能が元通りにはなりませんよね。

 「インターナルブレース」と呼ばれる人工靱帯を用いた術式は、10年ほど前からあります。自分の手首から取ったすじ(自家腱)を用いた靭帯再建術に人工靭帯を組み合わせた術式は、ここ数年前から行われ、「ハイブリッド手術」といわれています。

 移植した直後の自家腱を人工靱帯がサポートしてくれる役割を担ってくれるため、自家腱の成熟が早くなりリハビリの時間が短くできるのではないか、というコンセプトで生まれました。

 従来のトミー・ジョン手術で…

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