現場へ! 復興へのともしび(3)
熊本県西原村、阿蘇くまもと空港から2キロの県道沿いに、赤ちょうちんが揺れる居酒屋「ほてい」がある。お盆前、西原村長の吉井誠(56)が幼友達や職員らと暑気払いでテーブルを囲んだ。
2016年4月16日未明の熊本地震本震で、布田川(ふたがわ)断層が走る西原村は民家の半数以上が全半壊する被害を受けた。1週間後、村役場の職員だった吉井は庁舎近くを歩くほていの主人・加藤政文(71)に駆け寄って声をかけた。
「店、いつ始めると?」
吉井の自宅も全壊、同僚と庁舎に泊まり込んで被災者への対応をしていた。みんなで一息つく場所が必要だった。
20年ほど前、水道料金の請求書が来る前に督促状が来たことに怒った加藤が、役場に怒鳴り込んできた。対応に困った同僚に泣きつかれた吉井は、謝りがてら飲みに行った。それ以来のつきあいだ。
「なるようにしかならん」
2人は「がんサバイバー」としてのつながりもある。
吉井は26歳の時に腎臓に4…