大阪大学は6日、福島県大熊町に教育・研究の足がかりとなる「福島拠点」を開いた。同町は東京電力福島第一原発が立地し、全町避難を経て、少しずつ住民が戻りつつある。地域の復興や放射線について学生たちが体験型で学ぶ場とするほか、研究者の利用も広げていく。
拠点には教職員2人が常駐。今夏はさっそく、阪大が2016年から行う福島での体験型授業に参加している十数大学・高専の約200人を受け入れる。
阪大は、小中高校生向けに開く科学教育プログラム「めばえ適塾」を新拠点でも実施する方針だ。
清水建設の仮事務所だった建物を、同社から寄付された町が約6千万円かけて改修。延べ床面積3620平方メートルの「大熊町連携大学等研究・支援センター」を完成させた。ここに阪大が入居した。
開所した6日には、阪大の中野貴志・核物理研究センター長が、新保隆志・副町長から建物のかぎを受け取った。
中野センター長は「まずは交流人口を増やし、参加する阪大の部局を増やしたい。私自身は、ここに新たなキャンパスを作りたいと思っている」と意気込みを語った。(波多野陽)