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いわき信組と全信組連

 預金者名義で無断で作った別口座に不正に融資していた疑いがあるいわき信用組合(福島県いわき市)が、東日本大震災対応で2012年に公的資金を受けた後、架空融資を相次いで取り消していたことが関係者の話でわかった。同信組の第三者委員会は、復興のための公金が不正隠しに使われた可能性があるとみて調べている模様だ。

 架空融資は信組内で「B資金」と呼ばれ、24年秋時点で約90口座、計17億円超と記されたリストが確認されている。第三者委は架空融資が震災前から続いており、総額は膨らむとみて、融資取り消しの規模などを調べているという。

 金融庁は12年1月、東日本大震災で改正された金融機能強化法に基づき、いわき信組に200億円の公的資金を注入した。同法改正は、被災地の金融機関が体力を高め、被災者や企業に復興支援の融資をしやすくする狙い。同信組は東京電力福島第一原発の20キロ圏内に支店があり、震災と原発事故で被害が出た取引先の事業再生や生活再建を求められた。

  • 被災者向けの公金「不正隠しに使うとは」 関与した元信組職員の疑問

 複数のいわき信組関係者によると、同信組は公的資金を受けた直後から、架空融資を償却する処理を始めた。償却は、回収不能になった貸付金を損失として計上する処理。金融機関の資産が減ることになり、自己資本が乏しい状態では影響が大きいが、償却により貸付金からは抹消される。同信組は、公的資金注入で自己資本が充実した後に、不正な架空融資を取り消した形だ。

元職員「償却処理、公的資金が入ったからだと…」

 同信組支店の元職員は取材に…

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