路線バスを使って宅配弁当を運ぶ実証実験が徳島市周辺で始まっている。徳島バス(徳島市)と、高齢者向けの弁当宅配サービスを手がけるアビック(徳島県北島町)による試みだ。
路線バスの運転席後ろの席に固定された箱形ケース。中には北島町内で作られた弁当が入っている。バスは徳島駅前から、約17キロ離れた石井町内に向かう。終点のバス停でアビックの担当者が弁当を受け取って、各戸に届ける仕組みだ。現在、輸送は毎朝夕2便で各10食程度。アビックにとって、配送に関わる人手や時間などを減らす効果がある。
両社は南海電気鉄道のグループ会社で、輸送料は発生していない。徳島バスは1年程度の実証実験を踏まえて、有料化を含めた本格導入を検討するという。担当者は「『県民の足』の路線バスをさらに有効活用できれば。本格導入で増収につながれば、路線の維持の一助にもなる」と期待を寄せる。
路線バスを使って荷物を運ぶ試みは「貨客混載」と呼ばれる。交通が不便な地域への配送効率化や、二酸化炭素の排出削減などの効果があるとされ、各地で導入の動きがある。