徳島大学病院(徳島市)は23日、「MCI(軽度認知障害)・認知症外来」を脳神経内科に新設したと発表した。アルツハイマー病による軽度の認知障害や認知症の人を対象にした国内初の治療薬「レカネマブ」が昨年9月に承認され、12月に販売が始まったことから、この薬をすみやかに患者へ届けるのが狙い。
レカネマブは、アルツハイマー病の原因の一つとされる物質「アミロイドβ」が脳内に蓄積しないように働く抗体薬で、2週に1回、点滴投与する。
臨床試験では、18カ月の投与の結果、偽薬と比べて認知機能低下の進行を27%抑えられた。
認知症の原因疾患は複数あるが、今回の治療薬はあくまでアルツハイマー病によるものに限定される。そのため、使用前に脳内にアミロイドβがたまっていることをPET(陽電子放射断層撮影)や髄液検査で確認する必要がある。
脳内の微小出血といった副作用の恐れがあるため、定期的にMRI(磁気共鳴断層撮影)のモニタリング(監視)も必要になる。
会見した和泉唯信・脳神経内科長は「全国的に期待されている治療法なので、より多くの対象者に迅速に受けていただきたい。期待の一方で対象から外れる人が少なからずいるので、そういった方へも最適な治療法を提示していきたい」と話した。
徳島大学病院ではすでに3月に3人が投薬治療を開始しており、さらに近く3人増えて計6人になるという。
専門外来は月曜で、和泉科長が担当。火曜も公式には掲げていないが、藤田浩司副科長が外来の対応をする。(東孝司)