江戸末期から受け継がれ、350年の歴史を持つ水戸の「お座敷文化」。なかでも三味線に合わせて披露する舞は座敷の華だ。3月には水戸市の地域文化財にも認定され、再評価の波にある。一度は消えかかった伝統を今につなげたのは一人のスナックママだった。
日暮れと共ににぎわいを見せる水戸市大工町。歓楽街の一角にある料亭で5月中旬、4人の舞方(まいかた)が座敷に立った。
座を仕切るのは安原保子さん(61)。この街の栄枯盛衰を30年にわたり見てきた「顔」的な存在だ。あでやかな舞を見せたかと思うと、三味線で座敷遊びの盛り上げ役にも徹した。
額には、じんわりと汗がにじ…