「ただ働きでもいい」。南アフリカ北東部のグレータークルーガー国立公園で、太田ゆかさん(29)は2016年、環境保護ボランティア団体の専属ガイドとして働き始めた。
公園内のロッジで、従業員用宿舎の相部屋に入った。ロッジの食堂で食事がとれる。観光客が残したシャンプーやリンス、服がもらえることもある。お金はたまらないが、とりあえず「ここで生きていける」。それだけで恵まれていた。そもそもサファリガイドの給料は安く、チップ頼みという人も少なくない。
- 29歳サファリガイド、南アのサバンナで生きる 大失敗からの逆転劇
- 記者サロン「アフリカへ飛び出した29歳 サファリガイド太田ゆかの生き方」【2024年12月13日(金)~】
大地を走り、大空を舞う生き物たちを追って、「私の生きる道」をひたむきに進む女性たちがいます。自然と共に生きる、とは――。アフリカのサバンナと、兵庫県豊岡市の農村。それぞれの地で、夢を描き、模索し、躍動する2人を紹介します。
手放せないライフル銃、でも…
南アには140種を超える哺乳類、500種超の鳥類、2万種超の虫が生息するという。でも、サファリツアー中に会える保証はない。客は「できるだけ近くで」と願う。ガイドとしても、たくさんの動物を見てもらいたい。しかし、安全確保は何よりも優先しなくてはいけない。
猛獣はライオンだけではない。バファローは角で突き刺し、放り投げ、攻撃を繰り返すこともある。泥沼に入ってじっとしていると、気づくのが遅れることもある。
不運な事故は、まれに起きる…