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 「ただ働きでもいい」。南アフリカ北東部のグレータークルーガー国立公園で、太田ゆかさん(29)は2016年、環境保護ボランティア団体の専属ガイドとして働き始めた。

 公園内のロッジで、従業員用宿舎の相部屋に入った。ロッジの食堂で食事がとれる。観光客が残したシャンプーやリンス、服がもらえることもある。お金はたまらないが、とりあえず「ここで生きていける」。それだけで恵まれていた。そもそもサファリガイドの給料は安く、チップ頼みという人も少なくない。

  • 29歳サファリガイド、南アのサバンナで生きる 大失敗からの逆転劇
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サファリガイドの仕事を始めた太田ゆかさん=2019年7月16日、南アフリカ、本人提供
  • 記者サロン「アフリカへ飛び出した29歳 サファリガイド太田ゆかの生き方」【2024年12月13日(金)~】

 大地を走り、大空を舞う生き物たちを追って、「私の生きる道」をひたむきに進む女性たちがいます。自然と共に生きる、とは――。アフリカのサバンナと、兵庫県豊岡市の農村。それぞれの地で、夢を描き、模索し、躍動する2人を紹介します。

手放せないライフル銃、でも…

 南アには140種を超える哺乳類、500種超の鳥類、2万種超の虫が生息するという。でも、サファリツアー中に会える保証はない。客は「できるだけ近くで」と願う。ガイドとしても、たくさんの動物を見てもらいたい。しかし、安全確保は何よりも優先しなくてはいけない。

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サファリガイド訓練学校でのウォーキングの野外授業。安全な距離をとって動物たちを観察する=2016年1月29日、ボツワナ、太田ゆかさん提供

 猛獣はライオンだけではない。バファローは角で突き刺し、放り投げ、攻撃を繰り返すこともある。泥沼に入ってじっとしていると、気づくのが遅れることもある。

 不運な事故は、まれに起きる…

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