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6月の定期演奏会で、舞台前列に並んだ坂本尚さん(左から2人目)、永井佑樹さん(同3人目)ら兵庫高校吹奏楽部の3年生たち=2024年6月8日、神戸市中央区、河原田慎一撮影
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 「最後の夏」が終わった7月下旬のあの日。吹奏楽コンクール神戸地区大会の会場からの帰り道で、兵庫高校吹奏楽部の坂本尚さん(3年)は、こう考えながら歩いていた。

 「部活が好きなことだけがとりえの自分が、部長でよかったんかな」

 関西大会をめざした挑戦は、思ったよりも早く、幕を閉じた。

 吹奏楽のことを考えるのはつらい。でも、部長としての責任が頭によぎる。翌日にあった大学受験の模試は、集中できなかった。

 そんな気持ちが続いていた数日後、誘いを受けた。

 「サマーコンサートに出ようよ」

連載 ユーカリの樹の下で

コンクールにかけた夏。吹奏楽部の挑戦を追いました。

 誘ったのは永井佑樹さん(3年)。坂本さんと同じアルトサックスで3年間、励まし合い、高め合ってきた。

 ただ、永井さんは6月にあった部内オーディションでメンバーに選ばれず、最後のコンクールの舞台には立てなかった。本番では、自身が担ってきたソロを坂本さんが吹いた。

 このまま部活を終えるのは悔いが残る。だから、誘った。

 「最後は、2人で一緒に吹き…

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