草木染による紬織(つむぎおり)の人間国宝、志村ふくみさんの作品世界を表現する合唱組曲「色をいただく」が17日、東京の豊洲シビックセンターホールで上演される。作曲家で邦楽奏者の佐藤岳晶さんが志村さんの5編の詩を選び、女声合唱団「和奏(わかな)」とともに染色のワークショップに取り組むなどして、響きのイメージをつくりあげてきた。今回が完成版の初演となる。
合唱組曲をつくるプロジェクトは、数年前に発足。作曲にあたり、草木から「色をいただく 命をいただく」など、志村さんがつづった言葉の数々からインスピレーションを得たと、佐藤さんは語る。人間は自然の前では実にちっぽけな存在だが、その自然のすごみや真の価値に気付き、芸術をなすことができるのもまた人間のみ――。志村さんの言葉の数々を、そうした深い思索の源とした。
「和奏」のメンバーも、それぞれに染色のワークショップに参加するなどし、1曲1曲のイメージを佐藤さんとともに丁寧に育ててきた。
今回の演奏会のプログラムには、佐藤さんが故・石牟礼道子さんの詩に基づき作曲した歌曲「黒髪」もある。
石牟礼さんが原作を手がけ…