1日にあった東洋大学(本部・東京都)の新たな入試には多数の出願があり、関心の高さが浮き彫りになった。
一方、年内に、2教科の試験で合否判断する入試に踏み切ったことには、「大学入試をめぐる『ルール』に違反している」や「高校の進路指導を混乱させる」などの批判も起きている。
新入試の導入を決めた東洋大の加藤建二・入試部長は、物議を醸す状況をどうみるのか。話を聞いた。
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――「学校推薦入試 基礎学力テスト型」が1日に終わりました。志願者数についての受け止めは?
2万人を少し切るぐらいで、想定内でした。ただ、どれだけの受験生が出願するか分からなかったので、会場は多めに確保しました。
想定の最大人数まで行かなかった理由の一つは、高校に推薦書を出してもらえなかったという生徒さんがいたことかもしれません。受験生から、「うちの高校は、推薦は1校にしか出さない決まりだから複数はダメと言われた」「出席日数が足りないから推薦はできないと断られた」などの相談が来ました。
併願可能な公募型ではあるのですが、それぞれの高校が、その生徒を推薦に値するか判断したということでしょう。傾向として公立高校生より私立からの出願が多い印象で、もしかすると私立は柔軟に対応したという面があるのかもしれません。
――改めて、2教科の学力で判断する学校推薦型を年内に実施した狙いは?
4教科型、5教科型とか、経済学部で数学必須の入試を設けるとか、学力を測る入試を一般選抜で広げてきました。
基礎学力があって学ぶ習慣が身に付いている学生の割合を高めたい、と思ってのことです。その方針に沿って、年内入試でも基礎学力を測る入試を始めました。
「AO入試、推薦入試」と呼ばれていたころから、「年内入試は学力をつけていなくても入れる」という風潮が一部であり、一石を投じたいと思っていました。探究活動やプレゼン能力が注目され、アピールする受験生も多いですが、それも基礎学力をつけてこそと考えています。
――「個別学力検査の試験期日は2月1日から3月25日まで」という「大学入学者選抜実施要項」に違反するという声もあります。
本学の場合、一般選抜の個別学力検査はすべて3教科以上で実施しています。今回の基礎学力テストは、高校の授業進度に配慮し、基礎的レベルの2教科(英語・国語または英語・数学)にしており、一般選抜とは違って「基礎学力を確かめるもの」と位置付けています。
そもそも、「個別学力検査」の定義があいまいです。他大学では、例えば「総合問題」や「小論文」としながら、実質は英語や国語、数学の教科の試験というものもあります。
さらに関西を中心に、以前か…