実験のイメージ。怒りの感情を書いた紙をシュレッダーにかけた人(左)のグループは気持ちが静まったが、透明の箱に入れた人(右)のグループでは怒りの度合いは下がらなかった=名古屋大提供

 怒りを覚えたらその思いを紙に書いて、ゴミ箱に投げ捨てたりシュレッダーにかけたりすれば気持ちを静める効果があると、名古屋大の川合伸幸教授(認知科学)らの研究グループが実験で確かめた。職場や家庭で簡単かつ有効に怒りを抑制できる方法だとすすめる。研究成果が9日付の科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載される。

 怒りを覚えたときに、どうすれば気持ちを静められるか、様々な知恵や方法が提案されているが、科学的な根拠があるものは実は少ない。

 豊臣秀吉とゆかりがある愛知県清須市の日吉神社には、自分の捨てたい思いを封じ込めたお皿を割る「はきだし皿」という催しがある。同じように、怒りを感じた状況を紙に書いて捨てることで怒りが収まるか、研究グループは二つの実験をしてみた。

 まず名古屋大の学生50人(平均21・1歳、うち女性16人)を対象に、「公共の場での喫煙」などをテーマに随筆を書いてもらった。先輩にあたる博士課程の大学院生がその随筆を「知性」「親しみやすさ」「合理性」など6項目で評価、9段階で下から2~4番目の低い点数をわざとつけた。さらに、「大学生が書いた文章とは思えません。この人には頑張って大学で勉強してほしいです」とコメントした。

 学生たちには、受け取った評価とコメントを2分間読んだあとに、どう感じ、なぜそう思ったかを紙に書いてもらった。50人のうち半分には紙を裏返して机に置いてもらい、残り半分には紙を丸めてゴミ箱に投げ捨ててもらった。

 この二つのグループには、①随筆を書いた直後②先輩から低い評価を受けた直後③紙を机の上に置いたりゴミ箱に投げ捨てたりした直後――の3段階で、様々な怒りの感情の度合いを1~6点で評価してもらっていて、その変化を調べた。

 その結果、紙を机に置いたグ…

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