山本めゆさん

 敗戦直後の旧満州(中国東北部)で、旧ソ連兵に警護を頼み、その代償に娘たちを性の相手として差し出した――。岐阜県の開拓団の実話は衝撃的です。彼女たちの苦難は戦後も続きました。聞き取りを重ねた山本めゆ・立命館大准教授に話を聞きました。

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 岐阜県の旧黒川村(白川町)から旧満州(中国東北部)に渡った満蒙開拓団関係者に聞き取りを続けてきました。この開拓団は、敗戦直後に現地住民からの襲撃にさらされ、旧ソ連軍将校らに警護を頼み、代償に団の未婚女性約15人を性の相手として差し出しました。公開中のドキュメンタリー映画「黒川の女たち」で描かれています。

 フランスのモーパッサンの小説「脂肪の塊」を連想する人もいるでしょう。19世紀の普仏戦争下、馬車で街を脱出した乗客たちが、貧しい娼婦(しょうふ)にプロイセンの士官の相手をさせ、危機をしのぐ。ところが、脱出後は彼女を白眼視する。演劇や映画にもなりました。ただ小説で、「その後」は描写されていません。

 日本の敗戦後、大陸からの引…

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