繰り返される性暴力事件。ここ数年、映画界でも性暴力やハラスメント、労働搾取の告発が相次いでいる。被害者が勇気を出して上げた声を受け止め、行動を起こし始めている人たちによる、二つの論考から考えたい。
一つは、映画界での加害行為に反対する意見広告を出し対話を重ねる、映画ライター・月永理絵さんの寄稿。〈5日配信「『映画とは誰のものなのか』 上映中止めぐる新たな『倫理』を考える」〉
- 「映画とは誰のものなのか」 上映中止めぐる新たな「倫理」を考える
月永さんは、加害を告発された人物が関わる映画や劇場での上映判断をめぐり、新たな倫理が問われていると指摘。制作者や劇場関係者の葛藤もふまえながら、「告発に耳を傾け、上映のありかたを見直すことは、私たちが知らず知らずのうちに奪ってきたものを取り戻す試みでもある」とつづる。
もう一つは、作家の山内マリコさんと柚木麻子さんの対談。〈10月18日配信「性暴力根絶へ 二つのステートメントへの思い」〉
- 性暴力根絶へ 二つのステートメントへの思い 山内マリコ×柚木麻子
2人は映画界で性加害の告発があった2年前、被害者が中傷にさらされていたことから、映画原作者として連帯を示し加害撲滅を求める声明を出した。さらに足元の出版業界の問題に向き合うべく動き出し、今年9月に日本ペンクラブ女性作家委員会が発表した宣言「性加害のない世界を目指して」につなげていったという。
山内さんは被害者の告発がないと変わらない現状に疑問を呈し、「被害に遭った人の#MeTooを待つのではなく、自発的にステートメントを出すことで、変革していく流れを作れれば」と語る。
これ以上繰り返さないために。自分に何ができるか考え、動いていきたい。
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