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記者会見する馳浩知事=2024年5月21日午後2時5分、石川県庁、波絵理子撮影

 多様な性のあり方や性的少数者をめぐり、県民の理解を深めるための条例やパートナーシップ宣誓制度について、石川県の馳浩知事は21日、県議会6月定例会に提案しないことを明らかにした。当初は昨年9月の議会で提出を目指していたものの、「県民や議会の空気が醸成できていない」などとして、議会の度に提案延期を続けていた。当事者からは落胆の声があがっている。

 この日の会見で馳知事は、提出を見送った理由について、昨年6月に施行された「LGBT理解増進法」に基づくガイドラインが、政府で作成されていないことを挙げた。「何度も何度も何度も要請しているが、まだできてない。政府の怠慢だと思う。条例として出す以上は政府の方針、ガイドラインを踏まえて丁寧にやっていきたい」と説明した。これまで取り組んできた啓発事業や意見交換会は継続したいという。

 県内の当事者らでつくる一般社団法人「金沢レインボープライド」共同代表の松中権さん(48)は、「見送りは残念。国の動きをみる必要はない。保守といわれる山口県でもパートナーシップ制度の施行へ進んでいる」と指摘する。また、「能登半島地震があったからこそ、一人一人の尊厳や命が大切だということに県がいま一度立ち返る機会だった。優先順位がついて先送りされるというものでもない」と語った。

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 条例案は馳知事の肝いりで…

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