一般社団法人「fair」代表の松岡宗嗣さん

 「子どもが同性愛に誘導される」「子どもが性暴力の被害に遭う」――。性的マイノリティーを攻撃するために繰り返し利用されてきたのが、「子ども」です。「子ども」が持ち出されることにどんな意味があるのか。性的マイノリティーに関する情報発信に取り組む一般社団法人「fair」代表の松岡宗嗣さんに話を聞きました。

     ◇

1970年代のアメリカでも

 「子どもがかわいそう」は、マイノリティーを抑圧するために政治的かつ戦略的に利用され続けています。一般の人にも伝わりやすく、「怖い」「危ない」という不安が広がってしまう。「子どもを守らなければ」という社会的合意と結びつき、差別や抑圧が目的で広められた言葉であっても否定しづらいものです。

 1970年代の米国で、歌手のアニタ・ブライアント氏がつくった反同性愛運動の団体名が「Save Our Children(私たちの子どもを守れ)」です。「子どもが同性愛に誘導される」「子どもが性被害に遭う」という訴えを繰り広げました。最近は、同じ言葉がトランスジェンダーへの攻撃に使われています。昨年の米大統領選でトランプ氏がトランスジェンダーを攻撃する発言をしたのは、性的マイノリティーに関する学校での教育などに反対する「Moms for Liberty(自由を求めるママたち)」という保守系団体の集会でした。

猛烈なパターナリズム

 日本でも、ジェンダーに関す…

共有
Exit mobile version