記憶がよみがえり、治療を求めたのは、突然のことだった。
神奈川県の女性(55)は40代前半の頃、家庭と仕事の悩みを抱えていた。そんな時、急に思い出されたのが3~4歳ごろの記憶だ。
夕方、近所の遊び場で数人の子とかくれんぼをしていた。突然、若い男が「入れて」と声をかけてきた。物陰に隠れた時、男が下着の中に手を入れてきたという。何をされているのか理解できなかった。
「気持ちいい?」「お母さんに言っちゃだめだよ」。そう言われ、ただ怖くて気持ち悪かった。どうしていいかわからなかったが、やっとのことで声を発した。「帰りたい」
【連載】子どもへの性暴力
性暴力は、被害者の心身に深い傷を刻み込みます。朝日新聞は昨年9月に「子どもへの性暴力」第10部で、治療・ケアについて取り上げました。寄せられた声から、子どもの頃に被害を受けた人たちの体験を紹介し、そこに横たわる問題について考えます。
嘔吐繰り返し、「死にたい」と思う日々
水の底に沈めていた記憶が浮…