Smiley face

 かっこいい怪獣のしなやかな動き、着ぐるみの重量と構造、造形の技術と素材の革新、作り手の証言、中間制作物の収集保存と研究。「全部つながっているんだなあ」と感じ入りました。7月7日に開かれた「第1回特撮研究シンポジウム」取材と、26日に公開される特撮映画「カミノフデ 怪獣たちのいる島」の村瀬継蔵総監督(88)インタビューを終えての実感です。

「カミノフデ 怪獣たちのいる島」 (C)2024 映画「カミノフデ」製作委員会

 「カミノフデ」の物語は、特撮界に名を残した特殊美術造形家・時宮健三(佐野史郎)の孫娘・朱莉(鈴木梨央)が主人公で、祖父がプロットの形で遺(のこ)した映画の世界に迷い込み、怪獣や不思議な生きものと冒険をします。高純度のアナログ特撮が見もので、メイン怪獣ヤマタノオロチの首がゆらりゆらりとしなやかに動く様に見とれます。「見事な操演ですね」と村瀬さんに言うと「まずは造形。軽くて自由に操れるかが一番の問題です」。

 「造形屋」の自負をその言葉に感じると同時に、自分の不明を恥じました。見た目だけで考えてはいけないのです。村瀬さんはまさに特撮造形のレジェンドで、1958年に東宝に入社し映画「大怪獣バラン」「マタンゴ」「モスラ対ゴジラ」などの怪獣の着ぐるみを担当しました。バランの背中のトゲを透明なビニールホースを切って作ったという逸話は「カミノフデ」で時宮のエピソードとして登場します。

 65年に退社しますが、映画…

共有