中日のシンデレラボーイは、どこまで階段を駆け上がっていくのだろう。
井上一樹監督就任1年目の今季、松山晋也は抑え投手の最右翼と目される。150キロ半ばの直球に、角度のあるフォーク。昨季限りで巨人に移籍したライデル・マルティネスの穴を埋める、投手陣の最重要ポジションの一つと言っていい。
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春季キャンプ。甲高い音をミットに鳴らせて投げ込む姿は、自信にあふれていた。仕上がりを聞かれ「まだ10%です」。上半身の張りでやや自重はしているが、しっかり開幕を見すえて調整中だ。
3年前は、ほぼ無名だった。八戸学院大では3年秋になってようやく公式戦で初登板した。球は速いが、制球が乱れると手がつけられない。4年秋のリーグ戦で好投したことでスカウトの目に留まり、2022年の育成ドラフト1位で入団した。
ここからサクセスストーリーが始まる。
抑えを任された2軍の試合で好投し、23年6月に支配下登録。36試合に投げ、1勝1敗、防御率1・27。「本当に刺激的な1年間だった」
2年目の昨季はいきなり黒星から始まった。ヤクルトとの開幕戦(神宮)、リードした場面で登板したが、味方の失策から崩れ、1死も取れずに4失点し逆転負け。次の日も失点し、「勝利の方程式」を任されるはずだった信頼は揺らいだ。
いつまでも引きずらない生来…