若い女性に高額な売掛金(ツケ)を負わせ、売春などを強いる悪質なホストクラブの問題で、全国の警察が昨年1月から今年5月までに、売春強要や詐欺など76の事件で計172人のホストらを摘発したことが警察庁のまとめでわかった。昨年末から摘発を強め、昨年は86人、今年は5カ月間で86人だった。
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警察庁は31日、悪質ホストクラブ対策を協議する有識者らの検討会を東京都内で開いた。風俗営業法(風営法)の改正も視野に議論を進める。
警察庁によると、摘発したのは15都道府県警で、このうち警視庁が25事件で3割超だった。全国には約1千店のホストクラブがあり、東京・歌舞伎町に約300店、大阪・ミナミなどに約200店が集中しているという。
摘発された172人のうちホストは77人。女性客に無理やり売春をさせたり、金銭をだまし取ったりした疑いだった。他に無許可で営業していた疑いなどの店長や従業員らホストクラブ関係者が59人、売春場所の提供などの疑いの性風俗店関係者22人、客引き8人、風俗スカウト6人だった。
警視庁が今年7月、ホスト2人とスカウトを逮捕した事件では、スカウトの男が、ホストから「少なくとも30人の女性のあっせんを受けた」と供述。売掛金の支払いをさせるため、ホストが女性客をスカウトに紹介し、ソープランドなど全国の風俗店に送っている構図が浮かんだ。
悪質ホストクラブを巡っては、SNSで緩くつながる「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」の資金獲得源になっている可能性があると警察庁はみる。今年4~6月に摘発された匿流は、風営法違反で17人、客引きといった都道府県の迷惑防止条例違反で16人などだった。
警察庁は昨年11月、全国の警察にホストクラブなどの店舗への立ち入りや取り締まりを強めるよう指示した。警察庁長官や国家公安委員長が歌舞伎町を視察するなど、実態の把握や摘発に力を入れてきた。(板倉大地、御船紗子)
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