「六道さん」の愛称で親しまれている六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)(京都市東山区)では600年以上も前から、毎年お盆の前に先祖の霊「お精霊(しょらい)さん」を迎える行事「六道まいり」(8月7日~10日)が続く。先祖の精霊(しょうりょう)を現世に迎え、五山の送り火(同16日)であの世へ再び送る。どちらもご先祖さまに思いをはせる、京都のお盆の大切な行事だ。珍皇寺の名前は、先祖を敬い、大切にするという意味などがあるという。
例年は4日間で7万~10万人ほどが訪れ、早朝から夜間にかけて、お参りの人でたいへんにぎわう。参拝者はまず、参道に並ぶ花屋に立ち寄り、寺で8月初めに供養された高野槙(こうやまき)を求め、お寺の僧侶らに水塔婆(みずとうば)に戒名を書いてもらう。水塔婆は経木(きょうぎ)塔婆ともいい、経木と呼ばれる薄い木の板で作られた小さな卒塔婆(そとば)のことをいう。その後、先祖の精霊を呼び戻すといわれる「迎え鐘」をつく。
水塔婆を線香で浄(きよ)めて、備え付けの高野槙の葉で水塔婆に水を手向(たむ)けて供養する「水回向(みずえこう)」をした後、お盆の期間中の供養を願うため水塔婆は寺に納めるが、参道で求めた、精霊が宿るといわれる高野槙は自宅に持ち帰る。先祖の精霊は古来から、高野槙の葉に乗ってあの世から帰ってくると言われているからだ。
諸説あるが、創建は平安時代…