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真剣な表情で和太鼓を打ち込む豊中市立十一中の高本芽衣さん=2024年7月16日、大阪府豊中市、河原田慎一撮影
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 左足を引いた前傾姿勢で、正面の指揮者をぐっと見据える。手に持つばちを和太鼓に怒濤(どとう)のように振り下ろし、荒れる波のようなリズムを刻む。

 和太鼓は、吹奏楽曲「紺碧(こんぺき)の波濤(はとう)」で「英雄」を悲劇的な運命に導くような曲のストーリーになくてはならない存在だ。

 「和太鼓が崩れると全体が崩れるから、ちゃんと決めないと」

 豊中市立十一中(大阪府)の吹奏楽部で打楽器を担当する高本芽衣さん(3年)にとって、学校で和太鼓に向き合う時間は、一瞬も無駄にできない真剣勝負の時だ。

 部活動の時間は、限られている。授業がある平日は1時間ほど。合奏ができるのは土曜日の午前中だけだ。

 空き教室がほとんどない全校生徒1千人超の学校。放課後になると、約70人の吹奏楽部員たちは渡り廊下などに散って即座に練習を始める。

タブレットを使って

 文化庁が、部活動の休みを増やしたり指導者の負担を減らしたりすることを記したガイドラインを2018年に出し、「短期集中」の時代になった。

 十一中で25年間指導を続け…

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