岸田文雄首相は14日の自民党総裁選への不出馬会見で、自らの実績に防衛力の抜本強化を挙げ、「大きな成果を上げることができた」と語った。
日本の防衛政策の大きな転換となったのは、安倍晋三政権時代の憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認だ。岸田首相は、その安倍元首相が敷いたレールを走るように、敵基地攻撃(反撃)能力保有や、防衛費の国内総生産(GDP)比2%への大幅増、防衛装備品の第三国輸出解禁など、「異次元」の安保政策に次々と踏み込んだ。
こうした政策は、自らの抑止力強化のために、同盟国を使って役割を担わせたい米国の要請でもあった。日米の協力強化は必要だ。しかし、米国の意向に従い、安倍氏の敷いたレールを惰性で突っ走れば、日本の安全が担保されるほど、今の国際情勢は単純ではない。
いま日本には、二つのバラン…