3日から始まるセ・パ交流戦で、阪神タイガースの佐藤輝明の真価が問われる。
2020年秋のドラフト会議で4球団が競合した、長打力が魅力の左打者。ドラフト制以降の新人では史上最速の2桁本塁打に到達し、左打者としては史上初の新人から3年連続20本塁打を放った。
- 進路が決まらなかった高3の佐藤輝明 人生を変えた雨の日の一振り
1年目の21年には、ベルーナドーム(当時はメットライフドーム)で1試合3本塁打を放って鮮烈な印象を残した。その年の交流戦は6本塁打を記録したが、22年以降は3本、1本、昨年は本塁打なしに終わった。
交流戦通算成績は打率2割3分4厘、10本塁打、34打点。好不調の波が大きい選手ではあるが、交流戦を得意としているとは言えないだろう。
ただ、今季はここまで、ひと味違う。交流戦前(6月1日)現在で13本塁打、37打点はリーグトップ。打率も2割9分で同6位につけるなど、安定した数字を残している。
特筆すべきは本塁打の方向だ。
元々、右方向への打球が多い。昨季までの84本塁打のうち、右中間から右方向が6割以上の54本を占めていることからも明らかで、中堅が16本、左中間から左方向が14本だった。
だが今季は13本塁打のうち、右中間から右方向が6本、中堅が3本、左中間から左方向が4本とまんべんなく打っている。「良い形で来ていると思う」と多くは語らないが、昨オフから逆方向にも打つことを意識してきた成果が出ている。
開幕前、藤川球児監督は「アグレッシブなシーズンを送ってもらいたい」と、名前を挙げて期待した。シーズン途中に3番から4番に打順が変わったが、ここまでは期待通りの働きだ。史上310人目の100本塁打まで、あと4本。速球派の多いパ・リーグ投手との対戦では力勝負が増えそう。ここで結果を出せれば、一気に大化けしそうだ。