藤田医科大学(愛知県豊明市)は2026年度の入学生から、医学部の学費を約28%引き下げる。28日の理事会で決めた。入学金と授業料を合わせた6年間の学費の総額は現行の2980万円から2152万円になる。少子化による学生の獲得競争が激しさを増すなか、学費を引き下げることで地元の優秀な人材を確保する狙いがある。
同大によると、2023年度の入学試験では3157人が受験し、358人が合格。倍率は8.8倍だった。最終的な入学生は120人で、3分の2近くが国公立大や他の私立大の医学部に流れたことになる。
全国に31ある私立大医学部の学費は、半数以上で3千万円を超え、平均約3200万円となり、国公立の約350万円に比べて高額となっている。
藤田医科大の学費の引き下げは17年度の約640万円に続いて9年ぶり。その時は志願者数が増え、受験生の平均偏差値も上がったという実績がある。
学費の引き下げにより、名古屋大のほか、東大や京大の医学部を目指す東海地方の学生の選択肢の一つに加わることをもくろむ。藤田医科大の岩田仲生学長は「学費を値下げすることで、これまで以上に地域の優秀な学生が進学しやすい環境を整えたい」とコメントしている。