愛知県警岡崎警察署

 愛知県警岡崎署の留置場で2022年12月に勾留中の男性(当時43)が死亡した事件をめぐり、男性の父親(73)が県に男性への慰謝料など約8千万円の賠償を求め、名古屋地裁に提訴した。提訴は12日付。父親の代理人弁護士らが15日、会見で明らかにした。

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 訴状などによると、精神疾患のあった男性は22年11月25日、岡崎署に公務執行妨害の疑いで逮捕された。同28日に留置場内で暴れて服を脱いだとして、裸のまま「戒具(かいぐ)」と呼ばれるベルト手錠などで拘束されるなどした。延べ約140時間拘束され、男性は同年12月4日未明に亡くなった。解剖の結果、死因は「高度脱水による急性腎不全と考えられる」という。

 父親側は、同署が長時間拘束し、飲食を提供しなかったことや必要な医療上の措置をとらなかったことは違法だと主張している。

 父親は、「訴訟をしない限り、被害者が泣き寝入りするしかない世の中なので、訴訟を起こすことを決めた。警察の留置施設で何が起きているのか、外から監視できるしくみを作って欲しい」などとコメントを出した。

 愛知県警監察官室は「訴状が届いていないのでコメントは控える」としている。

 事件では、同署の留置主任官だった元警部=依願退職=が業務上過失致死罪で罰金80万円の略式命令を受けた。特別公務員暴行陵虐や業務上過失致死などの疑いで書類送検されていた他の署員(当時)8人は不起訴となった。名古屋第二検察審査会は「不起訴相当」と議決している。(渡辺杏果)

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