税理士試験の「簿記論」に合格した愛知商業高校経理研究部の3年生=2025年1月29日午前11時10分、名古屋市東区、松永佳伸撮影

 愛知県立愛知商業高校(名古屋市東区)の3年生5人が、難関とされる税理士試験の必須科目「簿記論」に合格した。同校では2022年以来の合格者で1度に5人が合格するのは、全国の高校でも「歴史的快挙」という。

 簿記論で合格したのは経理研究部に所属する田原涼花さん(情報処理科)、伊藤早希さん、牧谷未星さん、和田七海さん、古田真心さん(いずれも経理科)の5人。税理士になるには、必須2科目、選択3科目に合格する必要がある。科目ごとに判定がでて、計5科目に達したときに税理士の合格者となる。

 今年度の税理士試験で「簿記論」には1万7711人が受検し、合格は3076人で、合格率17.4%という難関だった。5人はほぼ毎日、授業後などに簿記競技の全国大会に向けて問題に取り組んできた。

 昨年7月の全国高校簿記競技大会では11年ぶりの団体3位入賞を果たしたほか、全国高校日商簿記選手権大会で団体6位、伊藤さんが個人10位になるなど、その実力は折り紙付きだ。

 しかし、税理士試験は昨年8月、日商簿記選手権大会の直前に実施されたため、受験対策に費やす時間が十分ではないなか、「朝練」や「自主練」を続け、日頃から培ってきた簿記の知識と問題を解く速さが奏功したという。

 田原さん、伊藤さん、牧谷さんの3人は日本商工会議所簿記検定1級に合格していて、卒業後は大学や専門学校へ進み、将来は公認会計士を目指すという。和田さんと古田さんは金融機関に就職し、働きながら資格の取得を目指す。

 5人は「経理研究部の仲間同士で欠点を補ったり、分からないところを教え合ったりした結果、みんなの合格につながった」と口をそろえる。田原さんは「過去の問題集をしっかり解くことが大切」、牧谷さんは「絶対に無理だと思っていたけど、あきらめずに勉強してよかった」と話した。

 顧問の大見本房恵教諭は「高校での簿記教育のレベルを超えた税理士試験に果敢に挑んだ生徒たちに拍手を送りたい」とたたえた。

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