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 愛知県内で見つかり、長年、「ナゾの化石」とされていた生物の正体は、新種の「海草」だった――。そんな研究結果を、北海道大学の山田敏弘教授(古植物学)がまとめた。国際的な学術誌に今月、論文が掲載された。

 新種と判明したのは「アイチイソハグキ」と「モロザキムカシザングサ」の2種。愛知県南知多町の約1800万年前の地層から発見されたが、長年にわたって「何の生物なのか分類できない化石」として保管され続けていた。

 その形状から、「海にすむ刺胞動物の一種のウミエラではないか」と考える人もいたという。山田教授が化石の形状を調べたところ、動物ではなく植物と判明。細部の特徴などから、沖縄などの暖かい海に分布する「リュウキュウスガモ」の祖先にあたる海草であることが分かった。

 海草は、今から約8100万年前に登場した。コンブやワカメなどの「海藻」と違って、いったん陸上で進化し、再び海に進出した維管束植物だ。

 海草は、太陽の光が降り注ぐ浅い海底に広がる。動物がエサとして食べたり、すみかとして利用したりするなど、生態系を支える役割がある。

 山田教授は「今後もさらに海草の化石の調査を進め、浅い海の生態系がたどってきた歴史を解明したい」と話している。

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