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2030 SDGsで変える

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希少ワクチンを製造するKMバイオロジクス会長の永里敏秋さん

 社会や経済を維持していくために感染症への備えは欠かせません。熊本県でインフルエンザ用のワクチンなどを製造するKMバイオロジクスの永里敏秋会長に、事業とサステイナビリティー(持続可能性)との関係を聞きました。

 ――希少な製品の製造をいろいろ手がけています。

 かつて猛威をふるった天然痘は根絶されましたが、エムポックス(サル痘)という似た感染症が発生しています。この対策で実質的に使用可能なワクチンは世界で2製剤だけで、その一つが当社のものです。

 世界保健機関(WHO)から緊急使用を認められ、サル痘が流行しているコンゴ民主共和国に日本政府から無償で供与されたところです。

 ヒト用のマムシやハブなどの抗毒素、A型肝炎ワクチンも、国内で製造しているのは私たちだけです。

 ――代替がきかない製品の供給には大きな責任が伴います。

 社長に就任してから安定的に効率よく生産できるよう、徹底的に製造工程を見直してきました。トヨタ流のカイゼンを採り入れて標準化し、作業しやすくしました。残業時間が大きく減り、働きやすくなったことで、生産効率も向上しました。

 ――持続可能性を高める取り組みをどう捉えていますか。

 世界の人々の健康で豊かな未来に貢献することを、企業理念に掲げています。社会の役に立つ事業であれば、売り上げも伸びるし利益も出る。事業と持続可能性の融合を進めています。

 社会に必要なものを作っているという自負が社員にも広がり、自発的な社会貢献活動が盛んになっています。阿蘇の森林保全活動に参加したり、耕作放棄地で野菜を栽培してこども食堂に届けたり。私が把握しきれないくらい増えています。

地下水を増やす取り組みも

 ――熊本は地下水が豊かな土地ですが、その水を大量に使ってもいます。

 「水循環型営農推進協議会」…

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