野球のデータ分析を専門に行う、「アナリスト」と呼ばれる役割が浸透し始めている。大学野球界で女性として、その先駆けとなったのが慶応大の福井みなみさん(22)だ。野球未経験で飛び込んだ道を4年間、駆け抜けた。
2020年夏、大阪・北野高硬式野球部のマネジャーだった福井さんは、無力感でいっぱいだった。
コロナ禍で中止になった夏の大阪大会の代わりに開かれた独自大会は4回戦敗退。3年間で、目標としていた甲子園出場はかなわなかった。
おにぎりを握ったり、手作りのお守りや千羽鶴を選手に贈ったり。「一生懸命やったつもりだし、私自身は楽しかった」。でも、選手が勝つためにできたことはあっただろうかと考えてみると、「何もなかった」。
福井さんの3歳上の兄は、「大阪桐蔭史上最高の主将」といわれた章吾さん(現トヨタ自動車)。その兄が甲子園に立つ姿に感動し、野球の世界に足を踏み入れたが、大学進学後もマネジャーを続けようという気持ちにはなれなかった。
そんな福井さんに新たな選択…