違憲の判決を受け福岡高裁前で笑顔を見せる原告団(右から原告のまさひろさん、こうすけさん、ゆうたさん、こうぞうさんら)=2024年12月13日午前11時35分、福岡市中央区六本松4丁目、小宮路勝撮影

 13日の福岡高裁判決は、同性婚を認めない民法などの規定が「憲法13条に違反するものといわざるを得ない」と判断した。

  • 同性婚を認めない法律は違憲 「幸福追求権」根拠は初 福岡高裁判決

 憲法13条は「すべて国民は、個人として尊重される」としたうえで、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利(幸福追求権)」について「最大の尊重を必要とする」と定めている。

 憲法の大原則である「基本的人権の尊重」の基礎となる規定で、103条からなる憲法の中でもとりわけ重要な条文と考えられている。

 身分制度がある時代には、人はその身分に沿った人生しか歩めなかった。身分や集団に関係なく「その人が自分らしく生きられること」と同時に、「個々人が多様な生き方を選び取れること」の重要性を示している。

 13条からは、憲法の条文に明記はされていない「プライバシーの権利」などに加え、「自己決定権」が導かれるとされる。

 自らの生命や身体、出産などの生殖、結婚や離婚といった家族関係のあり方など、個人の生き方そのものと強く結びつく事柄の決定に関する権利のことだ。

 最高裁大法廷は2023年と24年、二つの裁判で、法令が「憲法13条に違反する」との判断を示している。

 一つは、トランスジェンダーが戸籍上の性別を変えるのに、生殖能力を失わせる手術を必要とした「性同一性障害特例法」の要件が焦点となった家事審判だ。

 大法廷は23年10月、「意に反して身体への侵襲を受けない自由を侵害する」として、要件は13条に反して無効だと判断した。

 もう一つは、旧優生保護法のもとで不妊手術を強制された障害者らが国に損害賠償を求めた訴訟だ。

 大法廷は24年7月の判決で「身体への侵襲を受けない自由への重大な制約で、個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反する」と述べた。

 同性婚をめぐる13日の福岡高裁判決は、人生のパートナーと結ばれ、家族として生きていくための婚姻は「重要かつ根源的な営みで、両当事者の希望は最大限に尊重されなければならない」と指摘した。

 そのうえで、婚姻の選択については他者から干渉されないだけでなく、法制度によって保護される権利が「憲法13条で認められている」と述べ、同性婚が制度から排除されていることは13条違反だと導いた。結婚という選択の重要性を指摘しつつ、少数者の多様な生き方を尊重すべきだという考えを示した。

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