1世紀にわたってキャンパス内で独自の気象観測を続ける成蹊学園(東京都武蔵野市)が新年度、サクラの標本木の世代交代に取り組む。老齢化で倒れる恐れが出てきたためで、およそ3年をかけて引き継ぎに適した木を選ぶ計画だ。
東京における今春のサクラの開花は、平年と同じ3月24日で、30日に満開となった。成蹊学園のサクラも数日遅れで追う。その開花の基準は「二分咲き」で、気象庁の「5~6輪以上の花が開いた状態」とは異なることも日付の差の一因だ。31日朝、天文気象部の高校生11人らによる観察結果は満開直前の「七分咲き」ぐらいだった。
一日も欠かさず観測続けて1世紀
成蹊学園の気象観測の原点は、1925年に旧制高校の教諭や生徒が百葉箱を置いて試験的に気温などの観測を始めたこと。翌年元日から定時観測を続けており、先の戦争中を含めて一日も欠かしたことはない。学園に所属する私立の気象観測所、成蹊気象観測所を置いている。
サクラの開花や満開の日の記録も活動の一つだ。現在の標本木はキャンパスの中学高校エリアにあるソメイヨシノ。樹齢は不明だが、70年を超えるとみられる。敷地内にある約30本の中で最も早く花を咲かせる木で、観測に適していた。
傾く標本木 樹木医の指摘は
この標本木に「黄信号」がともったのは昨年5月のことだった。
成蹊気象観測所の副所長で学…