福井経編の技術を使って開発された心・血管パッチ「シンフォリウム」=東京都千代田区
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 生まれつき心臓や血管の形が正常と異なる先天性心疾患の子どもの手術で、血管を広げるために使う修復パッチ「シンフォリウム」が6月から販売される。開発した大阪医科薬科大、福井経編(たてあみ)興業(福井市)、帝人の3者が5月27日、会見で発表した。患者の体の成長にあわせてパッチ(つぎ布)も伸びるよう設計され、再手術のリスクなどが減ると期待できるという。

 先天性心疾患がある子どもは、100人に1人ほどとされ、幼いうちに、血管を広げたり、血液の流れるルートを修復したりする手術が行われることもある。

 手術で血管を広げるのに使う「修復パッチ」は、ウシの心臓の膜を加工したものや、合成素材製のものが使われてきたが、体の成長とともに心臓は大きくなるのにパッチが伸びないことや、素材が劣化することで、再手術が必要になる。

 シンフォリウムは、①体内で分解・吸収される糸②分解されない糸の二つで編み込んだ骨格を、ゼラチン膜で覆った製品。術後3カ月ほどで、患者本人の細胞がゼラチンと置き換わって血管の壁になり、2年ほどたつと①が分解される。素材の骨格が②だけになると、素材全体が2倍以上伸びるような織り方になっているという。

 最終的に患者本人の細胞で覆…

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