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韓国経済の現状などについて語る亜細亜大の奥田聡教授=2025年4月、東京都武蔵野市、稲田清英撮影

 6月3日に大統領選を控える韓国。重要な争点の一つとなるのが経済で、最近は成長が鈍化するなど楽観できない環境にあります。少子高齢化など中長期的な社会課題も山積しています。現状や、選挙戦での論点について、亜細亜大の奥田聡教授(同大アジア研究所長)に聞きました。

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 ――「相互関税」など米トランプ政権の経済・通商政策は、韓国にも大きく影響しそうですね。

 そうですね。以前は巨額の対中貿易黒字が韓国経済を支えていました。それが少しずつ変わってきており、対中貿易はかつてほどにはもうからなくなってきました。IT関連など韓国と競合する分野で中国の競争力が増したことも要因ですが、米中対立の激化の影響も大きいです。韓国にとっては貿易黒字が大きい米国との関係が重要性を増していました。

 ――先行きは不透明になっています。

 韓国は米国に自動車などを売って稼いできましたが、そうした戦略が大きな痛手を負いかねない状況です。もし対米輸出が減ったとしても、代替する新たな輸出先がすぐに見つかるわけではありません。今まで稼いできた黒字はもう稼げなくなる可能性があります。

 そうした中で韓国は大統領が不在のため、トランプ大統領とのトップ交渉が思うように出来ないという状況は痛いところですね。

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 ――大統領選でも暮らしや景気の問題は関心を集めると思います。韓国経済の現状はどうでしょうか。

 今年1~3月の実質国内総生…

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