【連載 よみがえれ刀 第7回】
かつては大量の豊後刀が作られていたのに、大分県内の刀鍛冶の里の周辺で製鉄の遺跡がほとんど見つかっていないミステリーの解明のため、愛媛大学アジア古代産業考古学研究センター長の考古学者、村上恭通(やすゆき)教授(62)を訪ねた。
村上教授は、中東や東欧で人類が初めて鉄を作り出して以来、アジアを経て日本に製鉄技術が伝わるルートを研究し、世界を飛び回る。ウクライナやロシア、カザフスタン、モンゴル、中国など、世界中の製鉄遺跡を発掘してまわる。これまでに15の国と地域を訪れた。
発掘や文献調査だけでなく、たたら製鉄の再現実験などにも取り組むのが村上流。人類が手にした最古の鉄が隕石ではないかと見立て、三上高慶(たかのり)刀匠と隕石の短剣を再現したこともあり、製鉄、鉄の加工ともに現場のことも熟知している。
「九州のあちこちで、たたら製鉄が」
豊後刀になる鉄はどこで作ら…