太平洋戦争末期に台湾海峡で日本の貨客船が米軍の攻撃を受けて沈没した「阿波丸事件」。父が犠牲になった岐阜市の澤村允雄(まさお)さん(89)ら遺族は、沈没現場から引き揚げられた木製の荷札を大切に保管している。80回目の命日となった今月1日、奈良市であった慰霊祭では父の名が記された荷札に手を合わせ、恒久平和の実現を祈った。
事件の慰霊塔がある奈良市の璉珹(れんじょう)寺に1日、全国各地の遺族ら約20人が集まった。允雄さんは弟の勝義さん(87)、允雄さんの長男と参列。
慰霊塔には木製の荷札が供えられた。荷札には、38歳で犠牲になった父・武士さんの名前が墨で書かれている。
事件から35年、届いた荷札に「お帰りなさい」
1970年代後半に中国側が…