戦争犯罪などの疑いで国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を出したリビア政府高官への対応をめぐって、イタリアとICCに摩擦が生じている。伊政府は1月中旬に国内でこの高官を拘束したが、ICCに移送せずリビアに帰国させた。移民の流入阻止で頼るリビアに配慮し、ICC加盟国の逮捕義務を怠ったとの批判も出ている。
ICCによると、イタリア司法当局は19日早朝、北部トリノに滞在していたオサマ・ニジェーム氏(45)の身柄を拘束した。ニジェーム氏の欧州滞在を把握したICCは前日に戦争犯罪と人道に対する罪の容疑で逮捕状を発行し、訪問先になる可能性があるイタリアなど6カ国に身柄の拘束を要請していた。
ICCは逮捕状の中でニジェーム氏について、カダフィ独裁政権が崩壊した後に政情不安が続くリビアで、首都トリポリにある刑務所の責任者として2015年から宗教上の理由などで投獄された民間人らの殺害や拷問、性的暴行を行った疑いを指摘している。
伊メディアによると、ニジェーム氏は6日にリビアからイタリアに到着後、英国やベルギー、ドイツを訪問。身柄を拘束されたのは、サッカー観戦などのためにイタリアに戻ってきたタイミングだったという。
しかし、ピアンテドージ内相は上院で23日、拘束時の司法手続きの不備を理由に21日にニジェーム氏を解放し、「安全保障上の理由」で国外退去処分としてリビアに帰国させたと認めた。
イタリアがICCへの移送手…