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「心の傷を負った兵士」展を見る「PTSDの日本兵家族会」の黒井秋夫さん(右から2人目)=2025年7月24日、東京都千代田区のしょうけい館、後藤遼太撮影

 戦場の過酷な経験や恐怖、加害行為の罪悪感などにより心に傷を負った日本軍兵士の実態について、国による初の調査結果の一部が23日から戦傷病者史料館「しょうけい館」(東京)で展示されている。アジア・太平洋戦争の終結から80年となる夏に合わせた簡易的な展示で、来年2月から常設展となる。

隠蔽された復員兵の心の傷 ようやく注目

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神疾患を患った兵士の存在は、戦時中は軍部によって隠蔽(いんぺい)され、戦後も本人や家族が「恥」とする意識が強く残り、長い間埋もれてきた。近年、兵士の家族らが「戦争トラウマ」として証言活動を広げ、本人の苦悩だけでなく、トラウマを抱えた元兵士から家族らが受けた虐待の苦しみも国会で取り上げられるなど、注目を集めた。

 こうした動きを受け、国は昨年度、旧軍の病院や日本傷痍(しょうい)軍人会などに残るカルテや体験記を収集・分析してきた。同館のテーマ展「心の傷を負った兵士」では、第2次世界大戦末期4年間の陸軍の戦病者785万人のうち約67万人が「精神病・その他の神経症」だったと説明するパネルなどを掲示。戦後も家族に暴力を振るってしまう元兵士の体験記なども展示した。

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「PTSDの日本兵家族会」の黒井秋夫さん=2025年7月24日、東京都千代田区のしょうけい館、後藤遼太撮影

さらなる実態調査 国は「今後議論」

 証言活動を続けてきた「PT…

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