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第30回全国高校野球選手権大会。成田の石原利男投手(左)と、岩館元治捕手(1948年撮影)
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 今年で第107回になる夏の全国高校野球選手権大会で、終戦翌年の1946年に復活した第28回に千葉県から出場したのは、成田中(現・成田高)だった。捕手だった石原利男さん(93)は今、成田市内の高齢者施設で暮らす。戦後80年に「野球は平和だからできる」と語る。

 46年、千葉大会決勝の相手は千葉商だった。

 石原さんは「負ける気がしなかった」と振り返る。7―5で勝ち、南関東大会(千葉・埼玉・神奈川)に出場。浦和中(現・浦和高、さいたま市)に13―8で勝利し、決勝で横浜商を5―4で破って優勝。初の全国へと進んだ。

 戦争が終わると、成田の街では、若者たちがすぐに野球を始めることができた。空襲は受けたが、被害は比較的少なかった。加えて、成田中の生徒たちは、野球に打ち込める環境にあった。成田山新勝寺が経営に関わる私立。「今で言うボンボンばかり」と石原さん。生徒は、門前の旅館や商店、裕福な家庭の子息が少なくなかった。

米軍占領下、全国大会は西宮球場で

 当時は米国による占領下だ…

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