太平洋戦争末期の激戦地、硫黄島(いおうとう)(東京都小笠原村)で29日、日米合同の慰霊式が開かれ、石破茂首相と中谷元防衛相、米国のヘグセス国防長官が参列した。戦後80年の節目の年に、首相とともに、両国の防衛担当閣僚が史上初めてそろって硫黄島を訪問し、日米の和解と同盟の強固さをアピールした。
首相は式典で「かつて戦火を交えた日米は、和解を果たして関係を深め、信頼し合える同盟国となった。平和の尊さを心に刻み、日米同盟を新たな高みに引き上げていく」と述べ、日米の和解と結束を強調した。ヘグセス氏も現在の日米同盟について「昨日の敵が今日の友となったことを示している」と語り、「我々の同盟はこれからも、インド太平洋における自由、繁栄、安全保障、平和の礎だ」と述べた。
硫黄島の戦いは、米海兵隊にとって最も犠牲の大きい戦いとされ、太平洋戦争における米軍の象徴的な戦いとなっている。トランプ米大統領は2月19日、硫黄島に米軍が上陸して80年となるのを記念し、「米国の力を示す伝説的な出来事だ」との声明を発表した。
慰霊式は、戦後50年の1995年に始まり、2000年以降はほぼ毎年実施されている。現職首相の硫黄島訪問は13年4月の安倍晋三氏以来。
硫黄島は本土の東京から南に約1200キロの孤島で、1945年2~3月、上陸した米軍と、約18キロの地下壕(ちかごう)を造った旧日本軍が激しく戦闘。日本側の戦死者は約2万1900人、米側も6821人が戦死した。
中谷氏はヘグセス氏の演説に…